円安や日本ブームによる旅行客の増加、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて民泊ビジネスが注目を集めています。
東京オリンピック開催による外国人の受け入れや、正規に許可を取っているホテル・旅館業者などの経営救済・空き家対策として、2018年6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されました。
今回民泊新法が施行される以前は、民泊施設に対する規制が緩く、無届で民泊を行う個人や業者が行っていた、いわゆる「闇民泊施設」も多数あり、
その中で外国人客らの夜の騒音やゴミ出しトラブルなど、近隣住人から苦情が相次ぐケースや、女性しか泊めない物件でセクハラ被害や犯罪者が悪用し事件の現場となったこともありました。
こうした被害を極力減らす対策が、今回の民泊新法の目的だったのですが、手続きや施設の整備が面倒な事や「既存の住宅を1日単位で利用者に貸し出すもので、
1年間で180日を超えない範囲内で、有償かつ反復継続するもの」という縛りが掛かったため、採算が取れなくなるのではと言う理由で、新に届出をしなかった人が多いようです。
規制強化によって登録物件は減りましたが、登録物件の質が上がったことにより、逆に考えれば今こそ民泊ビジネスを始めるには好機とも言えます。
民泊予約サイトAirbnbなどを利用することで、民泊ビジネスが有利に進められる現在ですが、実際始めるには何が必要でどのように始めるのかを解説します。
民泊ビジネスについて
ここのところ日本で主流になっているのが、空き家やマンションの空室を借りて、家具・家電などの内装を仕上げ、住宅宿泊事業者(オーナー)は住まずに宿泊料を稼ぐビジネスです。
住宅宿泊事業とは
民泊新法では、人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えないものをいいます。
営業日数の算定は毎年4月1日から
営業日数が年間180日と制限されていますが、ここでいう「1年間」は毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間になります。
今年の2018年では、6月15日~翌年4月1日正午までの期間で、内180日が営業可能日数となります。
日数カウントは、正午から翌日の正午までの間で人が滞在した場合に1泊としてカウントされます。
日数報告は2ヶ月に1度
毎年の偶数月の15日までに直近の2ヶ月分の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳を、2ヶ月に1度の期間で報告することが定められました。
住宅宿泊事業を実施することができる「住宅」とは
住宅宿泊事業を実施することができる「住宅」は、台所、浴室、便所、洗面設備などの設備要件が備えられた施設でなければいけません。
また、居住要件として、現に人の生活の本拠として使用されていること、入居者の募集が行われていること、随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されていることが求められていて、設備要件と居住要件を満たしていることが必要です。
設備要件とは
次の4つの設備が設けられている必要があります。
「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」
これらは必ずしも1棟の建物内に設置されている必要は無く、同一の敷地内の建物について一体的に使用できて、各建物に設置された設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、これら複数棟の建物を一つの「住宅」として届け出ることが可能ですが、これらの設備は届出する住宅に設置されている必要があり、届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等で代替することはできません。
また、これらの設備は必ずそれぞれが独立しているものである必要はなく、一つの設備に複数の機能があるユニットバス等も認められます。
浴室については、浴槽が無くてもシャワーがあればOKで、便所については和式・洋式のいずれかで構いません。
また、居室の面積は宿泊者1人あたり 3.3 ㎡以上を確保する必要があります。
居住要件とは
①「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」
現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋のことで、短期的に使用する場合は該当しません。
②「入居者の募集が行われている家屋」
住宅宿泊事業を行っている間、分譲(売却)又は賃貸の形態で、居住用住宅として入居者の募集が行われている家屋です。
③「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」
生活の本拠としては使用されていないものの、少なくとも年に1回以上は居住している必要があります。
・別荘等年数回程度利用している家屋
・休日のみ利用しているセカンドハウス
・転勤などにより一時的に住んではいないが、再度居住するための空き家
・相続により所有しているが、現在は住んでいないが、将来的に住む予定がある空き家
・別宅として使用している古民家
※上記以外の場合は、旅館業法の許可が必要となります。
民泊を行う際に遵守すべき事
各自治体が制定する条例を守る
今回の民泊新法の制定は、全国一律に規制されるわけではありません。
民泊を禁止したり、民泊の日数を制限できる等、地域独特の条例が民泊新法に追加されている場合があります。
例えば、ある自治体で○○地区は民泊を禁止するといった条例が可決されれば、そこの地区内では民泊ビジネスができなくなり、民泊の期間を「1年間で100日を超えないこと」といった条例が可決されれば、その期間を守らなければならなくなります。
自分も民泊ビジネスをやってみようと思っても、自分が住む自治体独自のルールが有るかも知れないので、事前に調べておきましょう。
最近では、東京都大田区で民泊を利用できる条件を、これまでの「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に短縮し、短い期間でも泊まれるようにして民泊が認められたという事例があります。
事業者と管理者の責任
民泊新法では、届け出をして住宅宿泊事業(民泊)を営む人を住宅宿泊事業者(オーナー)とこの事業者の他に、管理・運営を行う住宅宿泊管理者(管理者)も置かなければならなくなり、民泊を管理・運営する管理者の責任が明確に規定されました。
自分が自宅に住んで空き部屋を民泊として使う場合は、オーナーと管理者を兼任することができますが、民泊施設のオーナーが遠方に居住していて随時不在の場合には、第三者に管理者を委託する必要が出てきます。
管理者の責任
宿泊者への安全確保
具体的には、非常用照明器具の設置や避難経路の表示などがあり、ホテルや旅館経営並みの安全確保義務が課せられることになっています。
消防法では、家主滞在型かつ宿泊者が就寝する部屋が合計50㎡以下の場合は、住宅のままの取扱いとなっています。
宿泊者への快適性や利便性を確保
宿泊施設に家電製品や生活用品を整備し、外国語の説明を設置したり、近くの駅やバス停などから宿泊施設までのアクセス手段を案内するなど、宿泊者のニーズに合ったサポートが必要になります。
宿泊者名簿の作成義務
名簿には、宿泊者の氏名・住所・職業を記載しなければなりません。
また、宿泊者も管理者に自分の住所・氏名・職業を報告しなければなりません。
※名簿は3年間の保存が必要
周辺地域の配慮義務
最も重要な責任が、騒音やゴミなどの生活に関する注意喚起を管理者が宿泊者に行わなければならないことです。
現在民泊で最も問題になっていることは、マンションなどの集合住宅で夜中まで大声で騒いでいるとか、ゴミを散乱させるなど宿泊施設の周辺住民から宿泊者に対する苦情です。
また管理者には、近隣住民からの苦情を受け入れる窓口を設置し、宿泊施設として届け出ている住居の見えやすい場所に、民泊をしている旨の標識を掲示する義務が課せられています。
※上記の項目を遵守できない場合には、行政が業務停止や登録取り消しなどができるようになっています。
住宅宿泊事業法(民泊新法) | ||
家主居住型 | 家主不在型 | |
手続者 (及びクレーム対応) |
オーナー | 管理者 |
申告 | 届出 | 届出 |
営業日数 | 180日以下 | 180日以下 |
苦情対応責任者 | オーナー | 管理者 |
住居専用地域 | 可 | 可 |
民泊の届出
届出に必要な添付書類
住宅宿泊事業法に基づき民泊を行う場合には、以下の書類を都道府県知事への届出が必要となります。
① 法令・政省令で定めている提出書類
1 )住宅の登記事項証明書
2 )入居者の募集が行われている家屋において入居者募集を証する書類(不動産情報サイト、募集広告、募集写真等)
3 )届出住宅の図面※安全措置の実施状況を明示
4 )随時、その所有者、賃借人または転貸人の居住の用に供されている家屋において、供されていることを証する書類
※ 届出住宅周辺の商店で日用品を購入した際のレシート、届出住宅と自宅間の公共交通機関領収書等
5 )届出者が賃借人の場合において、賃貸人が住宅宿泊事業の用に供することを目的とした賃借物の転貸を承諾したことを証する書面
6 )届出者が転借人の場合において、賃貸人及び転貸人が住宅宿泊事業の用に供することを目的とした転借物の転貸を承諾したことを証する書面
7 )専有部分の用途に関する規約の写し(マンション管理規約)
8 )マンション管理規約に住宅宿泊事業を営むことについての定めがない場合は、管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確
認した誓約書
9 )住宅管理業者から交付された書面の写し(法第 34 条に基づく書面。住宅管理業者に管理を委託する場合のみ添付が必要)
10)欠格事由に該当しないことの誓約書
11)届出者が成年被後見人及び被保佐人に該当しないことの登記事項証明書
12)届出者が民法の一部を改正する法律(平成 11 年法律第 149 号)附則第3条第1項及び第2項の規定により成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産
手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
13)営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が法人である場合は、その法定代理人の登記事項証明書
② 当該法令等以外に提出を求める書類(必須)
1)届出住宅に係る消防法令適合通知書
※提出書類は個人用のものです
※制度の概要や法令等の詳細は観光庁が開設している『民泊制度ポータルサイト』を参照してください。
民泊可能物件の探し方
民泊ビジネスを始める際に大切なことが、民泊可能物件を持っているか、持っていなければ借りるということです。
借りる事ができる民泊可能物件とは、物件オーナーと不動産管理会社が民泊での利用に許可を出した物件のことです。
その様な物件は、街中にある不動産屋では見つけることが難しい物件となっていますが、民泊を運営したい人が、民泊可能物件のみの情報を探せる専門の不動産ポータルサイトがあるので、自分が居住している地域にどのような物件があるのか簡単に探す事が出来ます。
嬉しい事に、各物件において独自のアルゴリズムで算出した想定収入がひと目で分かる機能が付いているので、運営や初期投資資金の目安をつけられるのが便利です。
会員登録で非公開物件情報を配信してくれますし、基本的な利用は一切無料です。
民泊可能物件専門の不動産ポータルサイト
民泊物件.com
会員数は2017年7月現在10,000名超、加盟不動産会社は350社を超え、月間PVは25万の国内最大の民泊物件紹介サイトです。
民泊可能物件が決まったら
物件が決まれば、都道府県知事に手詠出書類を準備して提出すればいいのですが、平日は仕事で時間が取れない・書類を全部集める時間が無い・書類を用意するのが面倒、などここで躓いてしまう方も多いかもしれません。
正直、今迄民泊ビジネスをしていたけれど、規制や設備の義務化などで辞めてしまった人は少なくないようです。
ならば、面倒なことは費用が掛かっても全て丸投げしてしまった方が楽だし、管理も任せたほうが民泊経営のノウハウもあまり無い方でも始められますね。
届出から運営まで全てお任せ
面倒な書類の提出から、民泊施設の管理まで全て任せられるところがあります。
ここを利用すれば、不動産の賃貸料金・設備に掛かる費用・運営委託料の初期費用と、月々の管理委託料だけで民泊ビジネスを始められます。
民泊運営事業代行業者
お部屋の作り込み、Airbnbへの掲載、予約の管理、メールやチャット対応、レビューの管理、室内清掃、上位表示(SEO)の最適化、宿泊時トラブル対応など、お部屋の運用を代行させていただくワンストップサービスをご提供しております。
主要6都市(東京・大阪・京都・那覇・福岡・札幌)にて展開
沖縄での宿泊客の本人確認や宿泊台帳作成をはじめ、鍵の受け渡しやナビマップ配布など民泊におけるフロント業務を専門の店舗で受付代行致します。
・旅館業許可申請支援サービス
事前個別調査費用50,000円~(税別)
本申請150,000円〜(税別)+申請手数料22,000円
※事前個別調査費用50,000円(税別)はこの金額に含まれています。
申請手数料は、旅館業営業許可を役所に申請する際に発生する手数料で、旅館業営業許可が取得できなかった場合には費用はかかりません。
事前個別調査費用50,000円(税別)のみとなります。
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